農家の高齢化・担い手不足で起こる「耕作放棄地問題」。耕作放棄地とは、もう利用されていないが、過去に作物が育てられていた土地のこと。誰も手入れしなくなった農地はどんどん荒れていき、雑草や害虫が増え他の畑に悪影響を与えたり、野生動物の住処となり一般住民への被害に繋がったりする危険性があります。この問題にインド原産スーパーフード「モリンガ」で立ち向かう生産者が、三豊市豊中町にいます。
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耕作放棄地が増えると、人が住めなくなる
四国八十八か所霊場七十番札所「本山寺」が人々に愛され、市民の生活を支える大きな商業施設もある暮らしやすい町、三豊市豊中町。平野が広がり、農業科を擁する県立笠田高等学校があるなど、農業が根付いた町です。ここで農業を営み、のちに三豊スーパーフード生産組合を立ち上げる詫間さんは、豊中町に増える耕作放棄地に大きな危機感を感じていました。 「豊中町は地元です。高齢化が進み後継者がいない周りの農地がどんどん荒れていくのを見て、何か手を打たねば、と思いました。」(詫間さん) 担い手不足の結果、各地で耕作放棄地が増える問題は、どの地域でも同じ。未来を見据え、新規就農者や集団営農など次世代が就農するためにも、これらの農地を地域で維持管理できるような体制をつくる必要があり、それに適した作物が必要だと感じた詫間さん。香川県は雨が少なく、夏は暑い。そんな気候条件をクリアし手間のかからない作物があればと考えていた時、インド原産のスーパーフード「モリンガ」に出会いました。
三豊産モリンガで6次産業化。健康と環境保全に貢献する商品を開発
モリンガとは、抗糖化、抗酸化作用があり、ビタミンやミネラル、アミノ酸などのバランスがよく、カリウムやマグネシウム、鉄分、食物繊維、GABA、ポリフェノールなど90種類以上もの栄養素が含まれているスーパーフード(高機能バランス食材)です。太陽の光と暖かさを好み、適量の水で育ち管理しやすいモリンガは、まさに詫間さんの求める条件に合致。同じくモリンガを研究していた香川大学農学部の先生と協力し、2018年から実証栽培を開始し、試行錯誤の末、2021年に「MITOYO MORINGA」として商品化しました。 栄養素たっぷりのモリンガの風味と色合いを生かせるよう、収穫後24時間以内に乾燥機に入れ、新鮮な状態で低温乾燥したこれらの商品。顆粒スティックは小包装で長期保存しやすく、水に溶けやすいので豆乳やヨーグルトに混ぜたり、お菓子づくりにも使用できます。モリンガ茶はティーバッグにして、モリンガを飲む習慣をストレスなく続けられるように、おいしさを追究しています。 栽培・製造には、農薬や化学肥料不使用。バイオマス技術で三豊市の生ゴミを堆肥化したリサイクル肥料「リグリーン」や地元養鶏場から譲り受けた発酵鶏ふんを使用するなど、安心安全な製品づくりに努めているそうです。おいしさ・健康・環境に配慮されたMITOYO MORINGAは、着々と愛用者が増えています。
市内中学校と連携した探究教育にも協力
2022年からは、三豊市立三野津中学校の中庭で8本のモリンガの栽培を開始しました。これは、自ら考え、自ら行動できる生徒の育成をめざす「探究学習」の一環で、2023年度からモリンガを学習題材として活用する計画が進んでいます。 三豊市教育センター長の小玉さんは、MITOYO MORINGAについて「探究学習では、実際に大人も悩んでいる本物の課題に取り組むことが大切です。MITOYO MORINGAの魅力をより広く伝えていくというのは、それに最適だと考えています」と話しており、今後の中学生たちとのコラボレーションにも期待が高まっています。
MITOYO MORINGAのめざす未来
2021年に発売開始し、ファンが広がりつつあるMITOYO MORINGA。今後の展望と三豊の農業の未来について、どのように考えているのでしょうか。 「今後モリンガをよりたくさんの方にお届けし、お客様の健康と地域環境の保全に貢献したいと思います」(企画開発担当 田中さん) MITOYO MORINGAの人気は発売開始以来順調に高まっており、オンラインストアや三豊市内の取扱店舗だけでなく、市外での取扱いやTV取材依頼も来るなど、多くの人がMITOYO MORINGAに注目し、その取組を支持しています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農畜水産の未来をつくる一助となります。応援していただける方は、ぜひMITOYO MORINGAの商品をチェックしてみてください。 三豊市は、MITOYO MORINGA商品を三豊市の地域産品「みとよのみ」に認定し、その農畜水産の未来につながる社会的・環境的価値のある取組を応援しています。
商品情報
MITOYO MORINGA(三豊モリンガ)
農薬・化学肥料不使用。 美容と健康、環境を考える三豊市産スーパーフード。 モリンガとは、抗糖化、抗酸化作用があり、ビタミンやミネラル、アミノ酸などのバランスがよく、カリウムやマグネシウム、鉄分、食物繊維、GABA、ポリフェノールなど90種類以上もの栄養素が含まれているスーパーフード(高機能バランス食材)。栄養失調や貧困、環境問題に対する解決策として近年脚光を浴び、2007年には国連WFPの食糧計画に採用されました。 MITOYO MORINGA(三豊モリンガ)は、香川大学農学部との研究協力により、三豊市での最適な栽培から収穫、そして製造、梱包まで、完全国内生産にこだわっています。リサイクル肥料であるリグリーン堆肥を使用し、農薬や化学肥料を一切使わず、健康と環境に最大限配慮。飲みやすさ・使いやすさを追究することで、習慣として継続しやすい商品づくりに努めています。
生産者情報
生産者
三豊スーパーフード生産組合
エリア
豊中町
手がけるみのり
モリンガ
解決課題
取り組む課題、取り組む課題取り組む課題、取り組む課題取り組む課題、取り組む課題
所在地
〒769-1507 香川県三豊市豊中町岡本270-7
連絡先
Tel 050-3635-2335(土日を除く)
Writer
古市 綾美
三豊市農林水産課 地域おこし協力隊
三豊市出身。関西でWEBや広告の企画・制作を経験した後、2022年8月にUターン。三豊市の農林水産物のプロモーションを担当しています。
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