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2023.02.01

“これからの福祉”を体現する。地域の悩みから生まれた、人にとことん寄り添う交流拠点【認定品取扱店|箸蔵とことん】

皆さんの最寄りのスーパーやコンビニは、どれくらいの距離にありますか?徒歩で行けますか、それとも自動車で行きますか?おじいちゃんやおばあちゃんは、どのように買い物をしていますか?

香川県三豊市と山を挟んだおとなり、徳島県三好市池田町は、吉野川と山々に囲まれた自然たっぷりの地域。ここに、徳島各地から集まったお野菜や加工品、食堂やベーカリー、キッズスペースなどが充実する、ひときわ大きな建物があります。その名も、「地域交流拠点 箸蔵とことん」です。入り口入ってすぐには、三豊市の地域産品「みとよのみ®︎」コーナーもあります。

なぜ、そして誰が、この地域に複合施設をつくったのでしょうか?なぜ三豊市の産品が置かれているのでしょうか。箸蔵とことんが生まれた理由と、施設の全容について、施設長・竹田公二さんにお話をうかがいました。
入り口を入ってすぐの場所に、三豊産の品々がずらっと並ぶ

地域の悩みを聞き、多世代が集う場所

箸蔵とことんの運営・管理は、長く高齢者・障がい者福祉に取り組んできた「社会福祉法人 池田博愛会」が行っています。障がい者や高齢者の方々と地域との接点が少ない福祉の現状に違和感を感じた池田博愛会は、事業を通して地域とのつながりを持ち、地域の方々からの信頼を得ることを大切に活動してきました。

「“これからの福祉は、福祉だけではいけない。もっと地域に開き、地域に還元していきたい”という想いを、池田博愛会 理事長は強く持っていました。そのとき、ここ池田町のホームセンターの空き店舗が潰されるという話が入ってきたんです」(竹田さん)

箸蔵とことんが生まれる前、周辺地域にあったお店は、雑貨屋が1軒、米屋1軒、酒屋1軒ほど。地域を支えたホームセンターもなくなり過疎化が進み、自動車がなければ日用品の買い物もままならないほどでした。周辺住民へのアンケートでは、「買い物できる場所がほしい」「産直市場がほしい」と、買い物に関する切実な声が多く挙がったといいます。

このホームセンター跡地に地域の拠り所をつくり、障がい者が活躍する雇用を生みながら、地方創生を加速させたい。そう考えた池田博愛会は、地域の住民や高校生、様々な団体とともにワークショップを複数回にわたって開催。「子どもがのびのび遊べるスペースがほしい」「しばらく買い物に行けなくても大丈夫なように、保存のきく食品もあればいいのでは」「買い物だけでなく、イベントなどを通して多世代交流できるようにしたい」など、地域の声を取り入れて、この場所で必要とされる施設とはどんなものか、じっくり構想を練りました。

そうして、地域でお困りの方を放っておかず、小さなお子様からご高齢の方などへの気配りを“とことん”行う気持ちを込めて、2019年4月、地域の声から生まれた複合施設「地域交流拠点 箸蔵とことん」がオープンしました。
ホームセンター空き店舗を活用した建物
中に入ると、明るく広々とした空間に、地域の品々が並ぶ

箸蔵とことん4つの楽しみ方

地域の拠り所、安らぎの場所として、地域の産業を支え雇用を生み出すことをコンセプトとした箸蔵とことん。子どもから高齢者までが交流できる場所として、大きく4つの楽しみ方があります。

産直市&買い物支援

箸蔵とことんには、食料品・日用品・1年間保存可能なオリジナルのレトルト惣菜、地域の農家さんが育てた新鮮な野菜など、様々な品物が取り揃えられています。店内が広い分、品揃えも常に豊富。ここに来るだけで、新たな特産品と出会える買い物体験が楽しめます。

また、山間部に住み日々の買い物に不自由している高齢者の方々を対象に、エリアと時間を決めて移動販売を行っています。今後は来店して商品を選ぶ楽しさも感じてもらえるよう、箸蔵とことんまで送迎する取り組みを実験的に行っています。

とことん食堂&ベーカリー

彩り鮮やかな日替わり定食や箸蔵グルメをはじめ、とことん食堂の豊富なメニューは、小鉢一つから手作り。社会福祉法人として培った「減塩などのやさしい食事」のノウハウを生かして、地域の食事を支えています。

とことんベーカリーには、焼き立てパンが日替わりで合計18種類並びます。障がい者の方も一緒に働き、パンづくりやパンの配達をするなど、自立を目指して取り組んでいます。

こども広場

箸蔵とことんの2階部分には、木製玩具や図書の充実した温かみある子ども向けスペースが設けられています。今後、子育てに悩んでいるお母さんやお父さん向けの講座、キッズスペースを利用した「読み聞かせ」「作品づくり」の開催や、子育て相談等の支援ができる窓口も設置していく予定だそう。

多世代交流

地元の高校と連携し、地域の野菜を使用したジャムづくり体験や、作品展の開催、ゲームイベント、多肉植物のワークショップなど、どの世代の方でも楽しめるイベントを開催しています。

どれも、福祉と地域の境目のない真にオープンな空間として、箸蔵とことんが目指す社会を体現した取り組みばかり。オープン以来、ほぼ毎日食堂に来る常連さんができたり、他県からの視察も受け入れるなど、地域での評判はもちろん、地方創生のモデルケースとしても注目されています。
「産直市」地域の新鮮な野菜やフルーツなどが集まる
「こども広場」小学生以下対象、利用料¥200/人。

徳島県三好市に、三豊の産品が並ぶ理由

箸蔵とことんには、三豊市の地域産品「みとよのみ®︎」コーナーがあります。

かつて竹田さんは、三好市にフルーツ産地が少なく、地域の方に届けられるフルーツが少ないことに苦慮していました。そんな時、知人の紹介で三豊市仁尾町の「まるく農園」組橋さん、「浅野農園」浅野さんと出会います。仁尾の曽保地区はみかん産地として有名で、竹田さん自身も曽保みかんの味をよく知っていたこともあり、箸蔵とことんで三豊市のフルーツの販売をスタートしました。今では、野菜や加工品など、さまざまな三豊の食品・食材が並び、箸蔵とことんのお客さまのもとへと届いています。竹田さんのお気に入りの品をうかがうと、

「浅野さんの温州みかんジュースは、石地(みかんの品種)の味がよく、甘味が強くて美味しいです。孫が大好きで、泣いていてもこのジュースを口に含んだ瞬間に泣き止むんです(笑)」(竹田さん)

浅野農園は、130年の歴史を誇るみかんの産地・仁尾町曽保地区で柑橘を栽培する農家で、育てた果実を丸ごと搾ったストレートジュースが人気です。

「三豊では、若い方たちが強い意志と考えを持って農業に取り組まれているなと感じます。箸蔵とことんに来店される方々の目に触れて、お互いの刺激になればと思っています」(竹田さん)

地域に少しでも多くの彩りを届けられるように。箸蔵とことんに並ぶラインナップは、常に地域目線でセレクトされているのです。
竹田さんイチオシ、浅野農園の泣く子も黙る温州みかんジュース

箸蔵とことんが伝えたいこと

地域の人々とつくりあげ、オープン以降も、多世代が集う地域の拠点として重要な役割を担う箸蔵とことん。竹田さんが箸蔵とことんを訪れる人々に今伝えたいことをうかがいました。

「スリッパ姿でもいいから、ぜひ、気軽に立ち寄っていただきたいです。地域の方も学生さんも、リラックスしてお買い物やお食事、おしゃべりを楽しんでもらえたら嬉しいです。また、お裁縫やお料理など、何か得意なことがある人は、作ったり教えてあげたりする場として、箸蔵とことんを使ってもらえたらと思います。いつでも相談してください」(竹田さん)

三豊のおとなり、徳島三好にある箸蔵とことんは、地域と人を繋ぐ拠点としてきょうも地域内外の人でにぎわっています。地域に根差した食やまちづくり、社会福祉に興味のある方は、ぜひ徳島県三好市池田町「地域交流拠点 箸蔵とことん」を訪れてみてください。

三豊市は、地域の農林水産物を素材として生み出された産品を地域産品「みとよのみ®︎」に認定しています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農林水産の未来をつくる一助となります。

取扱認定品情報

取扱店

地域交流拠点 箸蔵とことん

所在地

〒778-0020徳島県三好市池田町州津乳ノ木1382-1

営業時間

10:00〜17:00

・ 食堂 10:30〜14:00 (T.O OK)
・ ベーカリー 10:00〜
・ キッズコーナー 10:00〜16:00 (最終15:30)

定休日

火曜日

連絡先

0883-87-8155

WEBサイト
SNS

箸蔵とことん Instagram
箸蔵とことん facebook

※最新情報は直接店舗にご確認ください

Writer
古市 綾美
三豊市農林水産課 地域おこし協力隊
三豊市出身。関西でWEBや広告の企画・制作を経験した後、2022年8月にUターン。三豊市の農林水産物のプロモーションを担当しています。
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