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2022.11.08

瀬戸内海気候×耕作放棄地で誕生。日本一のエキストラバージンオリーブオイルで地域ブランドをつくる【認定品生産者|三豊オリーブ株式会社】

日本トップクラスの日照時間の長さを誇り山と海の幸に恵まれた三豊市仁尾町は、伝統あるみかん栽培をはじめ、ながく農業が営まれてきた豊かな地域です。しかし近年、農家の高齢化・担い手不足で起こる「耕作放棄地」が課題となっています。自然豊かなこの地域の特性を生かして、地域の美しさと土壌を守りたい。そんな想いを持ち、2015年、仁尾町に三豊オリーブ株式会社が誕生しました。

人口減少で荒地が増え……。気候特性を生かして地域再生をめざす

日本のウユニ塩湖と称され観光客に人気の「父母ヶ浜」がある仁尾町。太陽の光、海風、山間の緑など、自然のめぐみが一挙に集まった土地です。のちに三豊オリーブ株式会社の設立に参画する宮武さんは、父母ヶ浜を中心とする観光振興が始まる前の2010年から、「地域資源を生かして仁尾の新鮮な魚介や果物を販売できる場所があれば」と産直市をスタート。しかし、思ったよりも品物が集まりません。生産者さんから聞こえてきたのは、地域が直面する深刻な課題でした。

「『後継ぎがおらんから……』と、十分な販売量が確保できない方や、もう来年には農業を辞める、という方が増えていました。人口が減少し陸の孤島となりかけたこの地域を守りたいと、強く思いました」

地域を守るため目をつけたのが、日照時間の長さをはじめとした地中海に似た気候特性。香川県がオリーブ栽培を推進していたことも後押しとなり、担い手がいなくなった耕作放棄地を活用したオリーブ栽培に挑戦することとなったのです。
太陽と海が近い三豊市仁尾町

オリーブ産地といえば「三豊市」。日本一のオイルが誕生

ほぼ全てが荒れた農地からのスタートでした。みかんが枯れて雑木林と化していた園地を開拓し、オリーブを定植。十分な収穫量を得るまでに3年以上を要しました。一から仁尾町で育てられた自社農園オリーブから生まれたのが、「エキストラバージンオリーブオイルあかつき」です。

一般のエキストラバージオリーブオイルは、オリーブの実を搾ったバージンオイル(一番搾り)のうち、酸度が0.8%以下の良質なものをいいます。一方あかつきは、丁寧に手摘み選別したオリーブ果実を24時間以内に搾油しているため、酸度は一般のものを大きく抑えられた0.13%。鮮度が高く繊細な風味で、フルーツや野菜のような香り豊かなオイルとして定評があります。また、日照時間の長い仁尾町ではオリーブの天敵であるカビ菌が発生しにくく、菌予防の農薬や化学肥料を使わずに栽培することができ、安心安全の製品づくりに活かされています。

朝日の昇る前、一日の始まりを意味し、三豊オリーブの始まりを表して名つけられた「あかつき」。仁尾の気候と丁寧な製法が合わさり生まれたオリーブオイルは、三豊オリーブの設立から6年後、OLIVE JAPAN 2021にてBEST OF JAPAN、つまり日本一を受賞し、新たな国内オリーブ産地として三豊市が名を連ねることとなりました。
ヨーロッパで一般的なブレンドオイルと異なり、”ルッカ”と”ミッション”それぞれ単一品種を搾っている

地域もオリーブも、もっと活かすことができる

2022年現在、約60園地、5.7ヘクタールにも広がったオリーブ園地。その土地の多くが地域の耕作放棄地です。三豊オリーブの取組を知った農家さんが、「うちの園地も使って欲しい」と、担い手のいない園地の相談のため三豊オリーブを訪れているのです。

「きょうも朝から地域の農家さんの相談を受けていました。すべての土地がオリーブ栽培に適しているわけではありません。ただ、地域のためにもできるかぎりオリーブに合うように改良し、活用していきたいと思っています」(三豊オリーブ 宮武さん)

一からオリーブ園地をつくりBEST OF JAPANを獲得した三豊オリーブだからこそ、オリーブを知り尽くし、その可能性を信じています。さらなるステップアップとして、良質な三豊産オリーブの栄養を生かし、通常廃棄処分となるオリーブの葉っぱを活用した新商品の開発や、オリーブポマース(オリーブの絞り粕)のオリーブ牛の飼料などへの活用を進めています。爽やかな緑の実と葉が、仁尾町各地に彩りを取り戻しています。
収穫を控えた10月、オリーブの生育状況をみる宮武さん
新たに1箇所、荒れた耕作放棄地が開墾されている

三豊オリーブ株式会社のめざす未来

地域を想う行動から生まれ、BEST OF JAPANにたどり着いたオリーブオイルあかつき。次は何をめざすのでしょうか。

「私たちは社名に『三豊』を掲げています。世界中に数々のオリーブ農家がある中で、それらと競い合うのではなく、“三豊らしい”商品をつくっていきたい。三豊の地自体が全国に認知されるような、三豊ブランドを築き上げたいと思っています」(三豊オリーブ 宮武さん)

三豊を代表する新しい商品は、全国にファンを増やしています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農畜水産の未来をつくる一助となります。応援していただける方は、ぜひ三豊オリーブ株式会社の商品をチェックしてみてください。

三豊市は、「エキストラバージンオリーブオイルあかつき(ルッカ・ミッション)」を三豊市の地域産品「みとよのみ」に認定し、その農畜水産の未来をつくる社会的・環境的価値のある取組を応援しています。

【商品情報】

エキストラバージンオイルあかつき(ルッカ・ミッション)
太陽光をたっぷり浴びた自社農園のオリーブを手摘み選別。
国際オリーブオイル品評会「OLIVE JAPAN 2021」でBEST OF JAPAN(日本一)受賞
日照時間全国トップクラスを誇る“太陽のまち”香川県三豊市仁尾町を中心に栽培したオリーブの木から手摘みした100%三豊産のエキストラバージンオリーブオイルです。収穫から24時間以内に搾油することで、一般のエキストラバージンの規格よりもさらに鮮度の高いオイルに仕上げています。新鮮で繊細な風味は、フルーティな香り豊かなオイルとして定評があり、2021年OLIVE JAPAN国際品評会ではBEST OF JAPAN(日本一)を受賞しました。
販売場所
道の駅たからだの里さいた(三豊市財田町)
ゆめタウン三豊(三豊市豊中町)
百歳書店(三豊市仁尾町父母ヶ浜)
善通寺五岳物産会館(善通寺市善通寺町)
栗林庵(高松市栗林公園内)
まちのシューレ963(高松市丸亀町)
讃岐 牟礼の里 郷屋敷(高松市牟礼町)
井筒屋敷(東かがわ市引田)
ONOMICHI U2(広島県尾道市)
call(コール)|SPIRAL(東京都港区)
OshiOlive(東京都台東区)
北野エース(一部)
いかりスーパー(一部)
イオン(関東一部)

生産者情報

生産者

三豊オリーブ株式会社

エリア

仁尾町

手がけるみのり

オリーブオイルなど

解決課題

取り組む課題、取り組む課題取り組む課題、取り組む課題取り組む課題、取り組む課題

所在地

〒769-1406 香川県三豊市仁尾町仁尾辛42-17

ホームページ
Writer
古市 綾美
三豊市農林水産課 地域おこし協力隊
三豊市出身。関西でWEBや広告の企画・制作を経験した後、2022年8月にUターン。三豊市の農林水産物のプロモーションを担当しています。
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